熱可塑性樹脂メッキとは

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熱可塑性樹脂(ねつかそせいじゅし)がどのような特性を持ち、メッキ加工においてどのように扱われるのか、疑問をお持ちの担当者様も多いのではないでしょうか。

こちらの記事では、熱可塑性樹脂の基礎知識をはじめ、メッキ加工で使用される代表的な樹脂の種類や特徴、加工の目的やメリット、課題、そして実際の加工事例をわかりやすく解説します。

熱可塑性樹脂とは?

熱可塑性(ねつかそせい)とは、物質を加熱することによって柔らかくなり、冷やすと再び固くなるという状態変化を可逆的に繰り返す性質をいいます。

ガラスや金属などにも見られますが、主にプラスチックの性質に対して用いられる言葉であり、この性質を備えるプラスチックを「熱可塑性樹脂」と呼びます。熱を加えるだけで容易に形状を変化させることができるため加工性に優れており、再加熱によるリサイクルも可能な素材です。

メッキ加工に用いられる熱可塑性樹脂の種類と特徴

熱可塑性樹脂の代表的な種類には、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)、アクリル樹脂、ABS樹脂などがあり、生活のさまざまな場面から産業分野まで広く使用されています。ここでは、主要な熱可塑性樹脂の種類と特徴を解説します。

ポリプロピレン(PP)

軽量でありながら強度や弾性率が高く、耐衝撃性や耐薬品性にも優れている安定した樹脂です。自動車部品や家電製品などさまざまな用途で活用されています。一方で、非極性であるためメッキの密着性が得にくく、表面処理に工夫が必要な素材でもあります。また、耐候性が低いため、屋外での使用時には紫外線による変色や硬化(脆化)などの劣化が発生しやすい点には注意が必要です。

ポリエチレン(PE)

耐寒性に優れ、安価で成形加工がしやすい素材です。防水性・耐油性・耐薬品性が高い反面、耐熱性が低く熱に弱いほか、ポリプロピレン同様に接着やメッキ加工が難しい(難めっき樹脂)という特徴を持ちます。また、表面が柔らかく傷がつきやすい点もデメリットとして挙げられます。

アクリル樹脂(PMMA)

アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルを重合して生成される熱可塑性プラスチックの1つです。ガラスを凌ぐほどの高い透明度を備え、耐衝撃性や耐候性(紫外線や風雨への強さ)にも優れた高性能な素材です。自動車のテールランプや建材など、美観や耐久性が求められる領域で実用的に使用されています。

熱可塑性樹脂の用途

生活用品から産業用の部品まで幅広く活用

熱可塑性樹脂は、身近な日用品から高度な産業用部品まで、現代のモノづくりに欠かせない素材です。大きく分けると、加工しやすく低コストな汎用プラスチックと、耐熱性や機械的強度を高めたエンジニアリングプラスチック(エンプラ)の2種類に大別されます。

汎用プラスチックの代表的な種類と用途

熱可塑性樹脂へメッキ加工する目的やメリット

加熱や成形が容易な素材への高付加価値化

熱可塑性樹脂は、射出成形や押出成形などで複雑な形状を大量かつ容易に作れるという大きなメリットを持っています。この樹脂の表面に金属の被膜を形成(メッキ加工)することで、プラスチックの軽さ、加工性の良さ、を活かしながら、金属と同等の外観の美しさ(意匠性)、導電性、電磁波シールド性、耐摩耗性などを付与することが可能になります。

幅広い分野でのコスト削減と環境配慮

金属部品をメッキ加工されたプラスチック部品へ置き換える(樹脂化する)ことで、製品全体の軽量化や材料コストの削減が期待できます。特に自動車部品や電子機器においては、燃費向上や機器の小型化に大きく貢献しています。また、熱可塑性樹脂はリサイクルが可能なため、環境負荷を抑えたモノづくりにも適しています。

熱可塑性樹脂へメッキ加工を行う場合の課題

熱可塑性樹脂の中には、表面が不活性でメッキ皮膜が密着しにくい素材(PPやPEなど)が存在し、特殊なエッチング処理やプライマー処理が必要になる場合があります。素材に合わせた適切な前処理を行わないと、メッキの剥がれや膨れなどの不具合につながるため注意が必要です。

また、樹脂自体の耐熱温度が金属より低いため、高温環境下では変形するリスクがあります。金属製品と同等の強度や硬度を完全に代替できるわけではないため、用途に応じた素材選定(エンプラ・スーパーエンプラの活用など)が求められます。

熱可塑性樹脂へのメッキ加工事例

自動車部品への加工例

自動車部品への加工事例
画像引用元:https://www.tukada-riken.co.jp/cases/cases_2/

エンプラ(エンジニアリングプラスチック)などの熱可塑性樹脂を用いた事例です。重い金属部品からスーパーエンプラへの素材変更(樹脂化)とメッキ加工を組み合わせることで、車体の大幅な軽量化とコスト削減を実現したケースになります。

自動車部品のように高い耐久性や耐熱性が求められる分野では、製品の用途や使用環境に合わせて、ベースとなる適切な樹脂素材とメッキプロセスを慎重に選定することが重要です。

携帯電話のスイッチボタンへ樹脂メッキを施した加工例

携帯電話のスイッチボタンへ樹脂メッキを施した加工例
画像引用元:加飾技術ナビ
https://decorating.atryz.co.jp/case/case_600/

ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)は、メッキの密着性が非常に高く、プラスチックメッキの中でも代表的な熱可塑性樹脂です。携帯電話のスイッチボタンの事例では、ABS樹脂に対して無電解ニッケル(Ni)、電解ニッケル、クロム(Cr)を重ねるメッキが施されています。

日常的に人の手に触れる部品であるため、金属調の美しい外観はもちろん、薄膜での均一なメッキ精度や耐摩耗性が求められます。

【まとめ】熱可塑性樹脂のプラスチックメッキ加工

熱可塑性は、物質を加熱することにより柔らかくなって、冷やすと固くなるという状態変化を可逆的に繰り返す性質を指します。

代表的な種類には、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)、アクリル樹脂、ABS樹脂などがあり、自動車部品や医療機器、日用品など幅広い分野で活用されています。加熱・成形・再加工が容易で、メッキ加工を施すことで軽さと金属の機能性を両立できるのが大きなメリットです。

こちらのサイトでは、「高品質な内外装部品の量産」「電子機器への電磁波シールド」「アクセサリーのニッケルフリー」という3つの目的別に、おすすめのプラスチックメッキ加工メーカーについて解説しています。自社のニーズに合ったメーカーを見つけるために、ぜひご活用ください。

【目的別】
プラスチックメッキ加工会社3選

製品の性能や耐久性を高めるためには、自社のニーズに合ったプラスチックメッキ加工会社を選ぶことが重要です。

目的に応じたおすすめの加工会社を厳選してご紹介します。

高耐食性・高品質な
内外装部品の量産

なら
白金鍍金工業
(しろがねめっきこうぎょう)
白金鍍金工業公式HP
引用元情報:白金鍍金工業公式HP
(https://www.siragane.co.jp/)
耐食性の高い加工で
耐久性のある部品を大量生産

75年以上※にわたりめっき加工を手掛け、自動車メーカー向けにドアハンドルや内外装部品にめっき。耐食性を付与する3層のニッケルめっきを採用し、耐久性・品質の高い加工を実現。様々な加飾バリエーションへの対応とエレベータ方式設備、画像検査システムや膜厚シュミレータを併用し、生産性と品質保証の両面を向上しています。

例えばこんな用途に
  • 自動車の内外装部品
  • シャワーヘッドなどの水栓部品
  • 遊戯部品や家電製品の装飾など
電磁波の影響を抑えた
精密機器の加工

なら
塚田理研
(つかだりけん)
塚田理研公式HP
引用元情報:塚田理研公式HP
(https://www.tukada-riken.co.jp/)
電磁波シールド性と放熱性を
両立しためっきに対応

電子基板メーカー向けのプリント配線板加工で培った技術をもとに、無電解銅と無電解ニッケルを使用した電磁波シールドめっきを提供。精密機器のハウジングやコネクタに金属並みの導電性を持たせ、電磁波ノイズを遮断。
軽量化とノイズ対策に役立つメッキ加工を提供します。

例えばこんな用途に
  • ノートPCの外装
  • スマートフォンのフレーム
  • CTスキャン装置のシールドなど
肌に優しい仕上げの
アクセサリー

なら
林精器製造
(はやしせいきせいぞう)
林精器製造公式HP
引用元情報:林精器製造公式HP
(https://www.hayashiseiki.co.jp/)
装飾めっきを
ニッケルフリーで加工可能

創業から腕時計の外装部品製造に携わり、精密な仕上がりと高級感を追求。ニッケルフリー仕様で加工をするため、肌に優しく、多彩な色調や光沢・サテンの質感を表現が可能。
時計の外装のほか、リングやペンダントなど、デザイン性と安全性を兼ね備えた製品を実現します。

例えばこんな用途に
  • 時計のフレーム
  • リング
  • ピアス・イヤリングなど

※参照元:2025年2月3日調査時点 白金鍍金工業公式HP(https://www.siragane.co.jp/)

【目的別】
プラスチックメッキ
加工メーカー3選