PEI樹脂メッキとは？

PEI樹脂は、プラスチックの中でも耐熱性や寸法安定性に優れた素材です。

PEIそのものは電気を通さず、耐摩耗性にも限界がありますが、メッキ加工を施すことで用途の幅が広がります。

そもそもPEI樹脂（ポリエーテルイミド）とは

ポリエーテルイミド（Polyetherimide、以下PEI）は、スーパーエンプラの一種であり、エンプラと呼ばれるプラスチックの中でも高い耐熱性や強度を持つのが特徴です。米国のGE社によって開発されたエンジニアリングプラスチックで、その高い性能から幅広い分野で利用されています。

連続使用温度が170℃を超える特性を持つため、耐熱性が求められる用途に適しています。

また、寸法安定性にも優れ、成形後の収縮や変形が少ないことから、安定した製品製造が可能です。

その他にも、耐熱水性や耐放射線性、耐紫外線性、電気絶縁性、機械的強度など、多くの特性があります。

さらに、PEIは難燃性にも優れており、 自己消火性を持つことから安全性が重視される電気・電子分野でも採用されている素材です。また、透過性が高く琥珀色の透明性を備えているため、光学用途や医療機器の部材としても利用されます。

射出成形や押出成形が可能で加工性に優れている点も、幅広い分野で選ばれる理由のひとつです。

ただし、衝撃にはやや弱く、耐薬品性や耐摩耗性も高くありません。

PEI樹脂へメッキ加工する目的やメリット

耐摩耗性が高まる

PEI樹脂は高性能な素材ですが、耐摩耗性や耐衝撃性には課題があります。そこで、メッキ加工を施すことで表面硬度を高め、摩耗や腐食への耐性を向上させることが可能です。

過酷な環境で使用される産業機械や航空宇宙分野では、特に高い耐久性が求められます。

高級感を付与できる

メッキ加工を施すことで、樹脂でありながらまるで金属のような見た目に仕上げられます。デザイン性と高級感を付与したい場合にはメッキ加工が適しています。

PEI樹脂メッキの主な用途

航空宇宙分野

耐熱性だけではなく、寸法安定性にも優れている素材であるため、航空機の内装や電子部品に多く使用されています。メッキ加工によって導電性や耐摩耗性を加えることが可能です。

• 航空機内装で使用されるコネクタ：PEIにメッキ加工を施すことで、高温環境でも安定し、電気的な接続が可能になります。
• 計器パネル：金属的な質感を与えることで高級感が出ます。

光通信機器

PEIは寸法安定性と耐熱性に優れていることから、精密さが求められる光学部品にも適しています。メッキ加工を加えることで耐摩耗性や導電性を補強できるのが強みです。

• 光ファイバーコネクタ：信号の安定性を支えるために使用され、メッキにより摩耗や静電気を防止します。
• 光トランシーバモジュールの内部コンポーネント：高温環境でも形状を維持できるため、光通信の安定性を確保できます。

PEI樹脂へのメッキ加工事例

医療機器

画像引用元：塚田理研工業
https://www.tukada-riken.co.jp/column/pei_plating/

電磁波ノイズ対策として、無電解銅めっきと無電解ニッケルめっきを組み合わせた電磁波シールド加工を行いました。

銅めっきによって導電性を確保し、さらにニッケルめっきで耐食性と耐久性を高めることが可能です。