プラスチックメッキは、樹脂に金属の機能性や美観を付与する技術です。ABS樹脂やポリプロピレン（PP）、ポリカーボネート（PC）など、用途に応じたメッキ技術が進化し、工業製品や自動車、電子機器など多様な分野で採用されています。
ABS樹脂は、軽量性や加工性に優れた素材ですが、そのままでは耐食性や導電性が不足しています。これらの課題を解決する方法の一つがメッキ加工です。ABS樹脂にメッキを施すことで金属のような光沢や耐久性を持たせ、さまざまな分野での活用が可能になります。
PP樹脂メッキとは、ポリプロピレン（PP）素材に金属の特性を付与する技術です。軽量で耐薬品性に優れたPPは、通常メッキが困難ですが、特定の処理を施すことで高い密着性を実現。自動車部品や電子機器、生活用品など幅広い分野で活用されるPPメッキの技術と課題、事例について解説します。
ポリカーボネート（PC）は、高い透明性と耐衝撃性を備えたエンジニアリングプラスチックとして広く知られています。しかし、その表面は傷がつきやすく、標準的なPCは電磁波シールド性能も持ちません。そこで注目されるのが、PC樹脂へのめっき加工です。金属のような質感を持たせるだけでなく、耐摩耗性や導電性を向上させ、製品の価値を高めることができます。
PEEK（ポリエーテルエーテルケトン）樹脂メッキとは、耐熱性や機械的強度に優れたPEEK樹脂に金属の特性を加える加工技術です。軽量かつ高機能な部品が求められる自動車・航空宇宙・電子機器分野で活用されています。しかし、PEEKは難めっき材とされ、特殊な技術が必要です。
PPS（ポリフェニレンサルファイド）は、耐熱性や耐薬品性、機械的強度に優れた高機能樹脂です。この優れた特性を生かしながら、金属の特性を加える方法として注目されるのがPPS樹脂メッキです。しかし、PPSは一般的な樹脂と比べてメッキ加工が難しく、専門的な技術が必要とされます。
LCP樹脂へメッキ加工することにより、素材が持つ耐熱性・寸法安定性・電気特性などの強みと、金属の強みである伝導性・シールド性などの付与が可能です。LCPは薄くても強度を維持できる特徴を持っていることから、軽量化や小型化が求められる製品においても利用されています。設計自由度を広げる技術としても役立ちます。
PBT樹脂（ポリブチレンテレフタレート）とは、高い電気絶縁性・成形性・耐熱性・耐薬品性などを持つ素材です。PETと似たような原料ではありますが、成形性や耐衝撃性に優れています。耐熱性があることから車のエンジンルーム内の部品としても活用可能です。メッキ加工を施すことにより金属部品の置き換えができることから、軽量化にも寄与します。
POM樹脂はポリオキシメチレンを略したもので、耐熱性・耐衝撃性・耐摩耗性・耐薬品性・寸法安定性など、さまざまな機能性を持つ素材です。メッキ加工を施すことにより金属性能を兼ね備えられるようになります。長寿命化や性能向上につながりますが、表面処理が難しく、メッキが剥がれやすいため、加工難易度が高い素材でもあります。
PPA樹脂とは、ポリフタルアミドと呼ばれているプラスチックの一種です。ナイロン系の樹脂に分類され、通常のナイロンよりも耐熱性や強度に優れています。自動車分野や電子部品分野などで使用されている素材であり、メッキ加工を施すことにより、通電性が付与されたり、デザイン性が向上したりする効果があります。
耐熱性・寸法安定性・難燃性に優れたPEI樹脂は、航空機の内装や医療機器など幅広い用途で使われています。連続使用温度が170度と高いことも特徴です。もともと耐摩耗性はそれほど高くありませんが、メッキ加工を施すことで耐久性やデザイン性が向上します。
耐熱性と耐薬品性を兼ね備えるPES樹脂は、メッキ処理を施すことで耐久性が向上し、精密電子部品としての利用が広がるほか、素材の透明感を活かしたデザインにも適しています。医療機器や電子部品などにも広く用いられています。
PSU樹脂メッキは、高い耐薬品性を持つことから滅菌処理に耐えられる素材であり、医療機器分野などで広く用いられています。また、メッキ加工を施すことで耐摩耗性や導電性が加わり、さらに多くの用途で使用可能です。高い機械的強度や寸法安定性を備えているのも特徴です。
製品の性能や耐久性を高めるためには、自社のニーズに合ったプラスチックメッキ加工会社を選ぶことが重要です。
目的に応じたおすすめの加工会社を厳選してご紹介します。
75年以上※にわたりめっき加工を手掛け、自動車メーカー向けにドアハンドルや内外装部品にめっき。耐食性を付与する3層のニッケルめっきを採用し、耐久性・品質の高い加工を実現。様々な加飾バリエーションへの対応とエレベータ方式設備、画像検査システムや膜厚シュミレータを併用し、生産性と品質保証の両面を向上しています。
電子基板メーカー向けのプリント配線板加工で培った技術をもとに、無電解銅と無電解ニッケルを使用した電磁波シールドめっきを提供。精密機器のハウジングやコネクタに金属並みの導電性を持たせ、電磁波ノイズを遮断。
軽量化とノイズ対策に役立つメッキ加工を提供します。
創業から腕時計の外装部品製造に携わり、精密な仕上がりと高級感を追求。ニッケルフリー仕様で加工をするため、肌に優しく、多彩な色調や光沢・サテンの質感を表現が可能。
時計の外装のほか、リングやペンダントなど、デザイン性と安全性を兼ね備えた製品を実現します。
※参照元：2025年2月3日調査時点 白金鍍金工業公式HP(https://www.siragane.co.jp/)
